『アンノウン』

医学博士のマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)は若い妻とともに学会に出席するためベルリンへと赴くが、宿泊するホテルに向かう途中で交通事故に遭う。病院で一人意識を取り戻したハリスだったが、妻にはその存在すら認識されず、見ず知らずの男が自分になりすましていたため、真相究明に乗り出すが……。(映画.com


偶然の事故の後に目覚めたら違う男が自分になりすましていた、というプロットで、正直、「こんな手の込んだすり替わりをするコストやリスクに見合うリターンをどう設定するつもりなの?どうやってあんな微妙な事故を起こしたわけ?風呂敷を広げすぎでは?」と斜に構えて見ていた。ところが事実が明らかになるにつれて景色が変わっていき、きっちり説明がついている。これはやられました。見事な脚本と言って良いのではないでしょうか。空港に大事なかばんを置き忘れてタクシーで取りに帰るという不穏な冒頭場面(いきなり立ち位置を不安定にする良い始まり方だと思いました)で実は…、なんて誰が予想しましょうか。スコンと騙されましたよ。見終わった後に冒頭場面を見返すとニンマリできます。
ハリスとともに真相に迫る、旧東ドイツの秘密警察ユルゲン(ブルーノ・ガンツ)が渋くて全体を引き締めていた。マスター・キートンに出てきそうな経験豊富な諜報員キャラクター。退場シーンも素晴らしかった。
あまり期待していなかったけど、後半にかけて謎の氷解感を味わえる良作でした。
85点

アンノウン ブルーレイ&DVDセット(2枚組)【初回限定生産】 [Blu-ray]

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