『ハート・ロッカー』

ハート・ロッカー - Wikipedia
爆弾処理や遠距離射撃戦などの緊張感が、映像と音響で鮮烈に表現されている。また、市民を保護したくともテロリストと見分けがつかない難しさが伝わってくる。そういった表面的な部分が高いテンションでリアリティたっぷりに描かれているためうっかりしがちだが、内面描写も巧みだと思う。前半では爆弾解体のスキルに揺るぎない自信を持つ「戦争ジャンキー」として描かれていたジェームズが、徐々に自らの無力に気付かされていく。エンディングで戦地に立つジェームズは、単純に爆弾処理の快楽を求めるような状態ではなく、戦地で求められるスキルを持つ身としての責務を全うしようとする心理になっていると思う。困難で先の見えない戦争に突入してしまったことへの批判も、この映画の下敷きになっているのかも。

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