『聖の青春』 大崎善生 著

聖の青春 (講談社文庫)

聖の青春 (講談社文庫)

29歳で夭逝したプロ棋士村山聖回顧録
彼が現役だった当時、持病があることは知っていたが、これほどまでに壮絶な闘病生活を強いられていたこたとは想像だにしていなかった。這うのがやっとの体調で、12時間以上がざらの対局に臨み、終局後は体調を崩し倒れる。そんな生活で羽生や谷川などのトッププロと互角以上の勝負をしていた。この精神力はどこからくるのか。
奨励会の弟弟子たちを見て、誰も本気で将棋に取り組んでいないと嘆いたという。彼らとて人生を賭けて勝負に臨んでいるわけで、怠けていたわけではないだろうが、命を削ってプロ四段に這い上がった村山にはそう映ったんだろう。
人間、努力と精神力如何でどこまでも昇っていけると勇気づけられる本であり、また同時に深く自省せずにはいられない本でもある。