『記者になりたい!』 池上彰 著

記者になりたい! (新潮文庫)

記者になりたい! (新潮文庫)

著者の、NHK記者・アナウンサーとしての半生を振り返る自叙伝。そうか、ニュースセンター845の人だったのをすっかり忘れていた。
本書は、著者が極めて高いレベルでバランスのとれた仕事人であることを窺わせる。粘り強く、情熱・行動力があり、頭脳明晰。また、受け手の心中を察する感受性が豊かだし、キャスターとして駄洒落を連発するなど、変なプライドがない。何の仕事に就いたとしても大成した人だと思う。
終章では日本のジャーナリズムの問題点を指摘しているが、上杉隆なんかよりは論調はマイルドである。今後、組織に縛られない立場から、是非著者なりのジャーナリズム論を発信して欲しいと思う。