『クローバー』 島本理生 著

クローバー

クローバー

出だしが軽いためそういうノリなのかなと思って読み進めたが、軽い中にも真摯な部分が見え隠れする。冬冶の、彼なりの嫉妬、強がり、あるいは、何度か出てくる、思いやりから出た言葉を直後に後悔するくだり等、大学生らしい描写が自然でとても良い。熊野氏や雪村さんも、登場時は「一風変わった人」ですが、話が進むにつれ温かい面が出てほどよい温度のエピソードに。
この著者の本は初めてだったが、読んでいて不快になる部分がなく、また提示される価値観も肯けるもので、引き続き読んでいきたいと思った。