『SUPER8』

SUPER8/スーパーエイト - Wikipedia
ジョーとアリスの淡い恋を描いた部分や、仲間との映画製作のキャッキャ感はとても良い。このあたりは、アリス役のエル・ファニングが全体を引き立てている。
しかしその他の部分は、詰め込みすぎでピンボケ感というか、出来合いのモジュールをつないだだけの底浅い感じが出てしまっているように思う。軍による謎の生物の秘匿、見えない敵に襲われる人類、お姫様奪還作戦、少年の冒険、エイリアンとの交流、等々、おなじみの要素をありったけ詰め込んだ感があり、見所満載という前向きな捉え方も可能ではあるけれど、全体としてベクトルの方向が揃っているとは言いがたいように思う。
また、少年の成長譚としてみた場合も物足りなさはある。主人公のジョーを成長させている要素があるとすればアリスとの恋や仲間との危機体験だが、ラストで彼が特別な存在となっている理由がそこにあるわけでもない。そうすると、彼が受容された要因となる素養(思いやりの心、だろうか)は当初から持っていたことになり、必ずしも納得性の高い成長譚とは言えないのではないだろうか。