『雪に願うこと』

雪に願うこと - Wikipedia
ぶっきらぼう伊勢谷友介の演技は、東京の生活で擦り切れてしまった学を表現するための「あえて」なんだろう。そんな学を迎え入れる厩舎の仲間達がとかく温かく、その朴訥な優しさが観る側にも伝わってくる。物語のメインストリームは、学が、力の衰えた輓馬ウンリュウの再起に自分を重ねていくところだとは思うが、殺伐とした東京ではありえなかった人と人との触れ合いこそが学に変化をもたらしているように映る。レースの結果を見ずに競馬場を出る学、という演出にもそれが現れているような気がした。ギスギスした人間関係に疲れたようなときに見ると芯から温まる映画だと思う。