『七瀬ふたたび』 筒井康隆 著

七瀬ふたたび (新潮文庫)

七瀬ふたたび (新潮文庫)

火田七瀬はついに、もう一人のテレパスと出会う。その後も、予知能力者、念動能力者など異能の持ち主と巡り合った七瀬は、しかし、彼女らを抹殺すべく暗躍する組織と対決することになる。
前作から一転、エンターテインメント性をとことん追求したSF作品になっている。次の異能者はどんな力をもっているのか、どんな手で窮地を脱するのか、ハラハラしながらページを繰る手が止まらない。そして、どの場面も読者の期待を裏切らないストレートな展開。たまにはこういうのも悪くない。山田風太郎甲賀忍法帖を彷彿とさせるおもしろさである。
現代社会においては超能力者であることを知られるのはほとんど死を意味する、という強い縛りによって、異能の持ち主でありながら絶えず追われる立場にも置かれているのが、うまい設定だと思う。否が応にも緊張感が持続する。