『成功術 時間の戦略』 鎌田浩毅 著

成功術 時間の戦略 (文春新書 (443))

成功術 時間の戦略 (文春新書 (443))

鎌田本もう1冊。
タイトルは何だか安直な感じがしなくもないが、内容はすごく落ち着いている。読書の方法や、教養としての古典の重要さなどを説く。
ポイントかなと思った部分は下記。

活きた時間とは、動いている状態そのものを指すからだ。活きた時間のキーワードは「変化」なのである。
活きた時間と死んだ時間を分ける勘どころが、ここにある。たえず変化し続けるものと、ルーチンとして繰り返されるもの、の違いである。瞬間瞬間に生まれ続けるものは、活きた時間の産物なのだ。自分がたえず変わることによって、過ごした時間の意味がはじめて現れる。反対に、既製の自分をコピーしただけの時間は死んでいる。惰性でやっている活動は、すべて死んでいるということだ。

これによれば、「活きた時間」は、歳をとるにつれて、よほど意識していない限り、どんどん少なくなっていきそうである。というのは、長く生きるほど様々なことを経験するため、過去の経験をなぞるような時間(死んだ時間)がどうしても増えてしまうからだ(逆に、子供のうちは何をやっても新鮮であり、活きた時間が自然と多くなるだろう)。歳を重ねるごとに1年が短く感じるようになるのは、死んだ時間が増えている証左かもしれない。
「自分がたえず変わることによって」、は、養老孟司氏の考え方にも通じるか。健全な感じがする。知的好奇心をいかに維持するか、かな。