『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』 桜庭一樹 著

冒頭に衝撃的なバラバラ殺人事件の結末を開示し、以降、それに至る過程を描く。結末との距離感を常に意識させられるため、人物の挙動1つ1つの脆さ、危うさがより切実に迫ってくる。
ただ、砂糖菓子の弾丸(と威力の小さい実弾)の虚しさを表現するには、結末に至る暴力はあまりに大きく、バランスを失しているように感じた。事件が発展する前の、なぎさが洗濯機に頭を突っ込んで泣く場面が、自分にとってのハイライトだった。