『ロストジェネレーション』 朝日新聞「ロストジェネレーション」取材班 著

ロストジェネレーション―さまよう2000万人

ロストジェネレーション―さまよう2000万人

「総中流」から「格差社会」への社会構造の変化に直面し、不安定な雇用にさらされている1972〜1982年生まれの層を「ロストジェネレーション」と定義し、取材した本。
困難に直面している人々のルポルタージュとしての価値はあると思うが、この世代を取り巻く状況を俯瞰した分析や提言はほとんどない。不遇に抗する形で若者が独自に立ち上げたコミューニティーに対して「可能性の芽が、ここにはある」と評する姿勢など、総じて「他人事」感が強いと思った。
この世代についてのルポや、同世代を取り巻く環境の分析、提言としては、「3年で辞めた若者はどこへ行ったのか」の方がはるかによかった。