『戻り川心中』 連城三紀彦 著

戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)

大正から昭和に差し掛かる頃を舞台にしたミステリ短編集。
各編とも「花」がテーマになっており、殺人事件の殺伐さと、匂い立つような美しさとが共存している。昨今、プロットの意外性やスピード感で読ませるミステリが多い中で、本作は一つ一つの言葉を丁寧に選び抜いて紡いだような、一味違った趣がある。25年前の作品だけれど、今読んでもみずみずしい感じがする。
5編の中からベスト1を挙げるとすれば、「桔梗の宿」。